耳鼻咽喉科は耳・鼻・のどなど暗く狭い穴を診るために、光を奥のほうまで届かせて診察します。このため、特殊な器具や鏡のついた額帯鏡という器具を頭に被ります。
またファイバーという細く長い管状の器具でのどや鼻の奥を診たり、顕微鏡で拡大して観察します。
耳には耳の毛や外耳道の屈曲があるため鼓膜を見えやすくするために耳鏡を用います。
鼻は鼻鏡と言って鼻の穴を拡大して奥まで観察します。
のどは舌を押すための舌圧子を用います。鏡のついた器具は上咽頭や喉頭を診察するために用います。
症状から
夏場に多い疾患:外耳炎、外耳道損傷、昆虫などの異物迷入。風邪など鼻・副鼻腔炎の後:急性中耳炎難聴。
(聞こえにくさ):急激に生じたもの突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻、メニエール病、急性中耳炎、耳あかが詰まった耳垢栓塞、外耳炎、(比較的)ゆっくり生じた難聴:滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳硬化症、老人性難聴、先天性難聴など
耳鳴り:難聴に伴って生じるものがあるため聴力検査を行います。拍動性のものなどでは頚の血管の雑音の場合などもあります。
耳の腫れ:外耳炎、耳介軟骨炎、耳介血腫外傷、小児の場合は急性乳突蜂巣炎に伴うものが多いですが、腫瘍などによる場合もあります。
いずれの場合も診察と聴力検査などが必要になります。
症状から
鼻水、くしゃみ、鼻づまり(鼻閉)、季節が決まっていれば季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)、古い日本家屋や掃除していない部屋などで症状が出る場合は、通年性アレルギー性鼻炎、鼻出血が出やすい、鼻の痂皮が多いなどは、鼻前庭炎、慢性鼻炎、肥厚性鼻炎のことが多いです。
アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎による鼻づまり(鼻閉)にはレーザーなどで下鼻甲介を焼灼します。
風邪をひくと鼻が詰まりやすい場合は鼻中隔弯曲症や鼻茸の場合もあり、症状が強い場合外科的な手術をおこなう場合があります。
悪臭がしたり、膿よく回ったり(膿性後鼻漏)、頭痛(眼奥)・頬部痛がある場合急に生じた場合は急性副鼻腔炎、そうでなく経過が長い場合は慢性副鼻腔炎であることがあります。治療は局所処置や点鼻薬・抗生物質などの内服を行い、症状がひどい場合や経過が長く改善が乏しい場合は外科的な処置を考慮します。鼻咽腔ファイバーにてしっかりと診察を行います。
症状から
のどの痛み、咳、声がれ(嗄声)などの症状が急激に生じた場合は、いわゆる風邪にともなう場合が多いです。急性咽頭炎、急性喉頭炎(声帯炎)、急性咽喉頭炎、急性扁桃炎の場合があります。
咳がひどかったり、気管から痰が吹き上がってきたりする場合は下気道疾患(いわゆる風邪がこじれた状態)となり酸素飽和度が下がったりしている場合は入院加療が必要な場合もあります。
急激にのどが痛くなり、唾も飲み込めないくらいの場合は、扁桃炎が悪化した扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、また喉頭蓋の腫れがひどい場合は、気管切開など入院し外科的な処置が必要になる場合があります。
大声を出したり、長く歌ったりなど声帯を酷使し、声がれが長引いている場合は声帯結節や声帯ポリープの場合があります。
喫煙歴の長さや飲酒などとともに声がれが続く場合は、喉頭白斑症(声帯白斑)や喉頭がんの場合もあります。
喉の違和感が持続する場合、とくに喉頭がんなどのリスクが乏しい人の場合は、咽喉頭異常感症と言って特に治療が必要がない場合も多いのですが、逆流性食道炎やリスクのある方では耳鼻科的ながんの場合もありますので、お気軽にご受診下さい。
喉頭ファイバーにてしっかりと診断して参ります。検査料は3割負担にて2000円程度になります。
アトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎などが患者数も多い疾患で、重複していたりすることも多いと言われています。
当院ではアトピー性皮膚炎に対しては皮膚科受診をお薦めしております。
気管支喘息については発作の場合は気管支拡張剤の吸入治療を行い、ステロイドの点滴内服、吸入ステロイドなどで発作を予防していく治療でコントロールに努めます。
アレルギー性鼻炎については、点鼻や内服に加え、漢方も行い眠くならない治療を目指します。
また内服で改善困難な鼻閉(鼻づまり)については下鼻甲介という部位のレーザー治療も保険にて可能です。
日帰りで手術は可能で、1-2日程度鼻血が出ることがありますが、麻酔が切れたあとでもあまり痛みもなく、日常生活もほぼ通常通り行えます。
術後しばらくは痂皮が付着し一時的に鼻づまりが悪化することがありますが、2週間程度で改善します。この治療は持続期間が3カ月-1年半程度のため反復して行ったりすることも多いです。
おおよそ保険で両鼻で10000円程度となります。
2003年新幹線運転士が運転中に駅を寝過ごして以来、認知度が上がり、潜在患者数が400万人と言われ、難治な高血圧や心臓や脳血管障害のリスクということも次第に判明し、人々の関心も高くなってきた疾患です。
内科と耳鼻咽喉科では、圧倒的に内科医の数が多いことから内科(呼吸器内科)で手がけられることが多い疾患となっており、診断には3万円程度の費用で1泊入院し、PSGという睡眠時脳波や酸素飽和度など測定を行い診断をつけ、加療(CPAP療法)を行います。
当院では入院検査設備がないため、簡易検査を行い、また上気道の状態を評価し治療につなげて参ります。
いびきに関しても、睡眠時無呼吸症候群の有病率が3-4割あるため、まずは睡眠検査をお勧めします。
めまいは、症状で言うとおおまかにぐるぐると回転するめまいと、ふわふわするとか体が揺れるといった浮遊感で分けます。
比較的回転性めまいの場合、末梢性と言われる耳(前庭)性めまいのことが多く、浮遊性の場合はそれ以外のことが多いと言われております。まず耳鼻科に来られた場合、その原因を探るため、聴力検査や患者さんの目の動き(眼振)を見ていきます。
また小脳の働きや体の平衡機能が保たれているかも確認します。
また耳からのめまいでないとすると脳から生じている可能性が高い場合は、脳神経外科や神経内科に紹介する場合もあります。
脳からのめまいが否定的な場合は、めまいの発作がひどい場合、点滴などを行いめまいを抑える治療を行なっていきます。